【 ピリン系 成分とは?市販薬に注意?!】アスピリンとの違いなどを化学構造で解説!

医薬品

” ピリン系 “という言葉は一般の方々でも聞いたことのある人が多いのではないでしょうか。

過去にピリン系の使用でピリン疹やショック症状を起こしたことがあるなど、過敏症が有名で医療者の間でも広く知られています。

ピリン系の薬は熱を下げ痛みを和らげる解熱鎮痛成分ですが、この記事では化学構造を交えて解説します。

ピリン系 とは?

ピリン系とはピラゾロン骨格を持つ解熱鎮痛成分のことで、今でも市場に残っているのものは成分名の語尾に「○○ピリン」と付いているのでわかりやすいでしょう。

ピリン系、ピラゾロンの構造式

ピリン系は古くに解熱鎮痛剤として使われていましたが、ショックなどの重篤な副作用報告が多く出たため今では副作用が起きにくいとされる成分のみ市場に残っている状況です。

ただし、市場に残っているものも積極的に使われるような成分ではないことに留意すべきです。

アスピリンは” ピリン系 “ではない

成分名の語尾が“ピリン“となっていてもピリン系に該当しない「アスピリン」もあるため混同しないよう注意が必要です。

アスピリン、アセチルサリチル酸の構造式

アスピリンは別名をアセチルサリチル酸といい、解熱鎮痛抗炎症作用を持ち、アスピリンの名前でよく使用されることからピリン系と間違いやすいのです。

アスピリンは市販薬では解熱鎮痛成分として配合されていることがある一方、医療用医薬品では血小板の働きを抑えて血を固まりにくくする目的で使用されることがほとんどです。

同じアスピリンでも用量の違いによって体内で優先される反応が異なることを利用しているのです。

ピリン系 の化学構造とアスピリン

現在、解熱鎮痛成分のピリン系にはイソプロピルアンチピリンとスルピリンがあります。

ピリン系、アンチピリン、イソプロピルアンチピリン、アスピリンの化学構造式

ピリン系はいずれもピラゾロン骨格を持っていますが、アスピリンにピラゾロン骨格はありません。

名前が紛らわしくてもアスピリンはピリン系薬剤ではないのです。

アスピリンに似ているのはエテンザミド、サリチルアミド

アスピリンがピリン系でないことは説明しましたが、さらに紛らわしいことに、アスピリンはエテンザミド(エトキシベンズアミド)やサリチルアミドと呼ばれる成分に化学構造が似ているため、アスピリン(またはエテンザミド、サリチルアミド)に過敏症を持つ場合はむしろこちらに注意が必要です。

アスピリン、エテンザミド、サリチルアミドの構造式

実際、エテンザミドやサリチルアミドはアスピリンと作用機序がほぼ同じでサリチル酸誘導体の解熱鎮痛抗炎症薬に分類され、アスピリン喘息の既往のある方はエテンザミドやサリチルアミドでも喘息を誘発する可能性があり使用を控える必要があります。

また、エテンザミドの方が胃粘膜障害が少ないとされているのは、アスピリンは体内でサリチル酸に変換され胃粘膜を直接刺激する恐れがあるためです。

アスピリンが腸で溶けるように工夫された腸溶性製剤であるのも、このように直接的な胃粘膜障害を防ぐことを目的としているのです。

エテンザミドは市販薬の「ナロンエース」シリーズ、「ノーシン錠」「新セデス®︎錠」などに含まれ、サリチルアミドは市販薬の「パイロンPL」シリーズ、医療用医薬品の「PL配合顆粒」に含まれています。

医療用と一般用(OTC)の ピリン系 配合量

せっかくなので気になるピリン系の配合量を医療用医薬品と一般用医薬品(市販薬、OTC)で比較してみましょう!

スルピリンは医療用医薬品の注射剤として販売されているのみでここでは割愛します。

イソプロピルアンチピリンは医療用医薬品と一般用医薬品(市販薬、OTC)のどちらにも含まれていることがあり、医療用医薬品ではかぜ様症状で処方される総合感冒薬の「SG配合顆粒」や「クリアミン配合錠」の成分として、市販薬では「セデス®︎・ハイ」シリーズや「プレコール®︎持続性カプセル」などの成分に含まれています。

商品名 イソプロピルアンチピリン(mg/日、最大量)
SG配合顆粒 600mg
クリアミン配合錠A 900mg
セデス®︎・ハイ シリーズ 450mg
プレコール®︎持続性カプセル 300mg

添付文書に記載の用法用量から1日あたりに服用するイソプロピルアンチピリンの最大量を表にしました。

市販薬のセデス®︎・ハイ シリーズやプレコール®︎持続性カプセルでは医療用医薬品のSG配合顆粒やクリアミン配合錠Aより少なめの含有量となっています。

もちろんそれぞれ含まれている成分自体が異なりますが、ピリン系に焦点を当てると表のような含有量の違いがあります。

まとめ

巷でよく聞くピリン系も化学構造で確認するととてもわかりやすく、語尾に「ピリン」と付く紛らわしい名前のアスピリンとの違いも理解しやすいでしょう。

アスピリン自体も過敏症において注意すべき成分があり、医療用医薬品と一般用医薬品(市販薬、OTC)のそれぞれで確認が必要ですね。

この先の有料部分で紹介するのは一般の方にあまり馴染みがない薬なので、気になる方は続きを読んでみてください!

実は医療現場に存在する「解熱鎮痛以外の” ピリン系 “」?!

驚きますよね!

実は医療現場には「解熱鎮痛が目的ではない”ピリン系”」があるのです。

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