点眼薬(目薬)の正しい使い方、使用期間の目安と期限・保管方法

一般の方向け

点眼薬 の使い方、期限や保管方法に疑問を持つ方も多く、薬局で患者さんと話す時でもよく訊かれます。

目薬はどうやって使ったらいいのかしら?
いつまで持つの?
どう保管したらいいのかしら?

このような疑問を持つ方は非常に多いです。
結論から簡潔に言えば、

標準的な点眼方法

①手をよく洗う
②下まぶたを軽く引いて1滴点眼する
③点眼後はまばたきせず、まぶたを閉じる
④1〜5分ほどまぶたを閉じ、涙囊部(目頭の鼻寄りの部分)を軽く押さえる

期限

・開封のものは目薬のラベルに期限が記載
・開封済みのものは1ヶ月(30日)

保管方法

・直射日光を避ける
・湿気の多いところを避ける
・多くは室温(1〜30℃)で可

となります。

では、少し細かく解説していきます。

点眼薬 の点眼方法

手をよく洗う

目薬をさす時、目や容器の先端に手が触れる可能性があります。目や目薬自体が汚れないようにするために手を清潔にしておく必要があります。

下まぶたを引いて1滴を点眼する

単純に目に入れやすくするためです。

容器の先端がまぶたやまつ毛に触れないように注意!

この時、容器の先端が目に触れると涙液などが容器に逆流し汚染の原因となります。実は目薬の汚染原因のうち最も割合の高いのが患者自身の取り扱いによるものとされています。

海外の研究では、なんと開封1日後の汚染率(菌や汚れの混入)が24.6%と最も高いという報告もあります。

開封したばかりと油断せず、取り扱いには注意しましょう!

1回の点眼は1滴で十分!

目薬の容器から出る1滴の量は、目の中全体に行き渡るのに十分な量です。
目の中に留めておける液量は最大でおよそ0.03mL(そのうち約0.007mLは涙液)、目薬の1滴はおよそ0.03〜0.05mLとされています。

つまり、理論上は目薬1滴を確実にさせれば溢れるくらいに十分な量なのです。

1回の点眼は1滴で十分です。

何滴も入れても効果が良くなるわけではありません。

むしろ副作用や目の周りが荒れてしまう原因にもなるので1回1滴を守りましょう!

目から溢れた液体はティッシュなどで軽く押さえて拭き取る!

目の周りは皮膚が薄く弱いため、擦って拭き取ると荒れてしまう可能性があります。特に何種類も目薬を併用している場合は、擦ってしまうと余計に目の周りの皮膚に刺激となってしまいます。

点眼後はまばたきせず、まぶたを閉じる

目と鼻は鼻涙管という管で繋がっています。まばたきすると、目薬が涙囊から鼻涙管を通り鼻→口へと流れていきます。
すると薬が全身へ吸収されやすくなり、思わぬ副作用や、薬が目から流れてしまうため効果が下がってしまう可能性もあります。

点眼後はまばたきせず、まぶたを閉じるようにしましょう。

1〜5分ほどまぶたを閉じ、涙囊部を軽く押さえる

一つ前で説明したように、まばたきをすることで薬が流れてしまいます。少しでも長く目に留めておくために、薬が流れていく部分(涙囊部)を指で摘んで軽く押さえることが効果的です。

点眼薬 の使用期間の目安と期限

点眼薬 の使用期間の目安

目薬1本で何日分になるんだ?

こんな疑問も非常に多く聞きます。

結論から言ってしまうと「人それぞれ」です。目薬を両眼にさすか片眼にさすか、1日何回さすかで変わります。濁ったりドロッとした液体の目薬や、容器を傾けて目薬をさしてしまったりすると、それも1滴の量が変わる原因になってしまいます。

点眼薬 1本が5mLの時、1本で約100滴分使える!

特に医療用の目薬では、ほぼ全ての目薬が1本あたり5mLです。(緑内障の点眼で1日2回以上使うことのないものに関しては、1本2.5mLのものもあります)

1本100滴と考えると、1日1回両眼で1滴ずつさせば、100滴÷2滴/日=50日分となります。
ただし後ほど解説しますが、目薬は開封後1ヶ月で汚れて使えなくなるので、それだけ余っても捨てなくてはなりません。

このように、1本5mLとして回数と無くなる日数をまとめると以下のようになります。

点眼回数両眼(×2回)片眼(×1回)
1日1回50日100日
1日2回25日50日
1日3回16.6日33日
1日4回12.5日25日
1日5回10日20日
1日6回8.3日16.6日

点眼は開封後1ヶ月(30日)が期限なので、33日、50日、100日持つ場合でも、それぞれ30日過ぎた時点で捨てて新しいものに切り替えるようにしましょう。

点眼薬 の無くなる早さ(日数)は人それぞれ違う!

一つ上でも書いたように、目薬の使い方で1本の無くなる早さは異なります。

さらに、濁った液体の目薬では、傾けて目薬をさすと、表面張力で液体が容器の先端をつたい1滴の量が多くなったり、そのまま残ると容器の液だれや汚れの原因となります。

こうしたことで、目薬の内容量(5mL)は同じでも、人によって無くなる早さに違いが出てきます。

目薬はなるべく垂直になるように目に1滴入れましょう。

未開封の 点眼薬 はラベルの期限を参考に

目薬の期限は容器のラベルに小さく記載されています。未開封であれば、適切な保管状況の中ではその記載のある期限まで安全な品質を維持したまま問題なく使用することができます。

開封済みの 点眼薬 は約1ヶ月(30日)

開封済み、つまり一度でもキャップを外してしまうと、その時点で空気中の雑菌やホコリなどで汚染されます。

点眼薬 は開封後30日を過ぎると菌がさらに検出されやすくなる!

開封後1〜10日でも目薬は汚染され、菌が検出されるというデータもありますが、『目薬は開封後30日以内に使用してください』という決まり文句には、一応根拠があるんですね。

ただ、『容器の先端がまぶたやまつ毛に触れないように注意!』の項でも触れましたが、開封1日後が最も菌の検出率が高いという海外のデータもあるため、30日経ってないから大丈夫!とはならないことにも注意しましょう。

点眼薬 の汚染は、中身の液体よりキャップが多い!

正直、薬剤師としても驚きの事実です。
実は目薬の中身の液体よりも、キャップや容器の先端の方が汚れやすく、菌が検出されやすかったという海外の報告もあります。

海外の研究によると目薬の汚染箇所の内訳はキャップ45.9%、点眼容器41.0%、内容液13.1%となっています。つまり中身が汚れるというより、容器の外側が汚れていくということです。中の液体は目薬に含まれる防腐剤によって菌の増殖が抑えられているようです。

海外の人の目薬の使い方が日本人に比べ汚染しやすい環境という可能性も否定できませんが、参考として、やはり取り扱いが非常に重要だということがわかります。

使用開始後30日を超えても汚染しないとされる 点眼薬 も?!

実は、アレルギー用のアレジオン®︎LX点眼や緑内障用のエイベリス®︎点眼(どちらも参天製薬)などでは、実際の使用を想定した試験で30日を経過しても菌による汚染がなかったことを確認している目薬もあったりします。

しかしそれでも開封後の期限は1ヶ月(30日)ということは意識しておきましょう。

点眼薬 の保管方法

直射日光は避ける

日光は光線です。医薬品の中には紫外線などエネルギーの大きい光線で成分が分解してしまう恐れのあるものもあり、基本的に直射日光は避ける必要があります。温度が上がりやすくなるという理由もあります。

湿気の多いところは避ける

湿気が多いと、キャップや点眼容器にカビが生えてしまう恐れがあります(正直、現場で働いていてあまり聞いたことはないですが..)。そのため、浴室などの湿気の多いところでは保管しないように注意しましょう。

多くは室温(1〜30℃)で可

ほとんどの医薬品が室温保存となっています。
日本薬局方における「室温」の定義は1〜30℃です。幅広いですね(笑)
ちなみに「冷所」の定義は1〜15℃

つまり、『室温保存』と書かれた医薬品では冷蔵庫(2〜8℃くらい?)で保管しても品質上の問題は全くないわけです。

『室温保存』と書かれた医薬品では基本的に冷蔵庫に入れてても問題ありません。ただ、凍ってしまうとその時点で使えなくなる(成分が変化する)ので、冷凍庫には入れないよう、そして温度にムラのあるような冷蔵庫では注意しましょう。また、冷えた目薬をさすことで冷感が刺激となり目に滲みる可能性もあるため、常温(15〜25℃)で保管するのが最も無難でしょう。

最後に

いかがでしたでしょうか?
意外!と思われることも多かったのではないでしょうか。

目薬には他にもまだまだ注意すべき点がありますし、それぞれの目薬で保管方法なども特別に決められていることもあります(開封前は冷蔵庫で開封後は室温で良い、遮光保存、など)。
使い方や使用期限、保管の仕方など、気になる場合はお近くの薬剤師にもご相談してみてください。

あわせて読みたい記事

【 セルフメディケーション税制 】市販薬の医療費控除の仕組みとやり方をわかりやすく解説!

【授乳中のアレルギーの市販薬】飲める薬、使える目薬、点鼻薬を薬剤師が紹介・解説!

タイトルとURLをコピーしました