【 オーソライズドジェネリック(AG) 】先発品、後発品との薬価や種類の違いを一覧で解説!

一般の方向け

はじめに

薬局などで処方薬をもらう方は「 オーソライズドジェネリック 」という言葉を近頃聞くようになったのではないでしょうか。

ジェネリック(GE)医薬品と言えば『先発品(最初に世の中で発売された医薬品)と同じ有効成分で値段が安いもの』というイメージを持つ方が多いかもしれません。

では、オーソライズド・ジェネリック(AG)医薬品とは何でしょう?

種類や違いなどを簡単に解説していきます。

オーソライズドジェネリック (AG)

オーソライズドジェネリック (AG)とは?

オーソライズド・ジェネリック(AG)とはAuthorized(許諾を得た) Generic(後発品)の略で、先発医薬品メーカーの許諾を得て、有効成分、添加物、製造法が先発品と同じジェネリック(GE)医薬品のことです。

一般的なジェネリック医薬品(後発品)は、同じ有効成分でも原薬(例えば作り方や輸入先)が違ったり、添加物や製造法が違ったりします。

基本的には、一般的なジェネリック医薬品でも効果に違いが出ることはありませんが、心理的な影響で効果に違いを生んだり(プラセボ効果など)や、もともと薬の血液中の濃度が効果に対して再現性が低いなど、効果の”ズレ”が生じる可能性もあります。

少し細かいですが、下の記事で解説しています↓
cf.後発(ジェネリック)医薬品は先発品と効果が違う?〜その原因などを薬剤師が解説〜

そうした不安を抱える患者さんにとって新たな選択肢であるオーソライズド・ジェネリックが出てきました。

有効成分、添加物、製造法が先発品と同じため、一般的なジェネリックより限りなく先発品に近いジェネリックと言えます。

そしてジェネリックであるため値段も先発品より安くなっています。

しかし、AGと一般的なGEで値段を比較すると、AGの方が値段が若干高くなる傾向にあります。

この理由は後ほど説明します。

先発品、一般的な後発品(GE)、オーソライズドジェネリック (AG)の比較

まずは先発品と後発品の主な違いから見てみましょう!

先発医薬品(新薬)後発(ジェネリック)医薬品オーソライズドジェネリック(AG)
開発期間10〜20年3〜5年後発品と同じ(早い場合もある)
開発費用数百億〜数千億円数億円程度後発品と同じ
薬価高い安い(先発品の半分以下)安い(先発品の半分以下)(※1)
有効成分同一同一
添加物先発品と異なる場合がある同一
原薬先発品と異なる場合がある同一(※2)
製法先発品と異なる場合がある同一
製造工場先発品と異なる場合がある同一(※3)
製造技術先発品と異なる場合がある同一(※3)
※1:発売状況により後発品より高くなることがある
※2:AG3では異なる
※3:AG2、AG3では異なる

開発にかかわる部分は一般的なGEとAGでさほど変わりがないように感じますね。

しかし、AGでは先発品メーカーの許諾を得て販売ができるため、他のGEより優先的に先行して販売することが可能となります。

オーソライズドジェネリック の薬価(薬の値段)

*薬価(薬の値段)はAGの方が若干高くなることがあります。

これは、例えば内服薬の場合、同時に10品目以上が承認されると先発品×0.4の値段になりますが、AGでは他のGEに先行して販売でき、先発品×0.5の値段で市場に出すことができるためです。

※薬価は国のルールにより決められています。
その決め方をここでは詳細に触れませんが、専門的な内容でもあるため、興味がある方は厚生労働省の資料をご覧になってください↓

・新医薬品の薬価算定方式

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000027ha4-att/2r98520000027p4k.pdf

・新規後発医薬品の薬価算定

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000174264.pdf

(中医協、厚生労働省HPより)

オーソライズドジェネリック の種類と比較一覧

オーソライズド・ジェネリック(AG)にも、厳密には種類があります。

有効成分、添加物、製造法は同じでも、それ以外の製造ラインなどが異なる場合があります。

どこまで先発品と同じかによってAG1〜3に分類されます。

先発品との比較AG1AG2AG3一般的なGE
有効成分同一同一同一同一
原薬同一同一異なる異なる
添加物同一同一同一異なる
製法同一同一同一異なる
製造工場同一異なる異なる異なる
製造技術同一異なる異なる異なる
■オーソライズド・ジェネリックの比較

AGの種類と先発・GEの違いを表にしました。

・ AG全体有効成分、添加物、製法が全て先発品と同じ
・ AG1
製造ラインまで先発品と全て同じ
・ AG2
製造ライン・技術が*異なる
・ AG3製造ライン・技術、原薬が*異なる
・一般的なGE
有効成分以外は全て*異なる

※正確には“異なる場合がある“

薬剤師個人的には、正直ここまでこだわる必要性をあまり感じませんが、患者さんのニーズに幅広く応える形になっています。

※AGが存在しない医薬品もあるのでお近くの薬剤師にご相談ください。

最後に(薬剤師からのメッセージ)

ジェネリック医薬品は年々増え続ける国民医療費削減のために国が使用を推奨しているものです。

少子超高齢化社会の日本で、この先も高齢者と医療費は増え続けながら税金を納める生産労働人口は減り続けてしまうため、一人一人の税負担は非常に重いものになっています。

医師の診断と薬剤師の調剤・投薬はそれぞれ保険診療、保険調剤であり“保険“が利いた状態で、基本的には多くても3割負担で国民は医療を受けることができます。

しかし残りは国庫、つまり国民の社会保険料として徴収されているもので、医療費のうち薬剤料(薬の値段)の占める割合もかなり大きく、高齢者が増えるほど全体の薬の使用量も増え医療費がかさんでいきます。

先発・後発を選択するのは患者さんの自由ですが、薬剤師として、効果に変わりないものなら医療費の抑えられるGE、AGの使用をオススメしたいですね。

ところで、そもそもGEは先発品と効果が違うのではないか?と不安と疑問を持つ方も多いと思います。
そうした疑問に答えた記事も書いているので、ぜひ読んでみてください↓

cf.後発(ジェネリック)医薬品は先発品と効果が違う?〜その原因などを薬剤師が解説!〜

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