【アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)とファーマコフォア】化学構造式で相互作用の強さを比較!

薬の化学構造と特徴

アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬( ARB )のファーマコフォアを確認しながら、それぞれの相互作用と阻害活性の強さを比較していきます。

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ぜひ参考にしてください!
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【化学構造式の勉強におすすめの本・書籍】構造式と薬理作用の関係を臨床へ活かせる本を紹介!

アンギオテンシンⅡ(AT-Ⅱ)受容体 と ARB

アンギオテンシンⅡ(AT-Ⅱ)受容体には、タイプ1(AT1)受容体とタイプ2(AT2)受容体があり、タイプ1(AT1)受容体は心・腎・副腎皮質、血管平滑筋などに多く発現しています。

AT1受容体機能として、血管収縮作用やアルドステロン分泌を介した血圧上昇、細胞増殖作用による心肥大、梗塞後のリモデリングを引き起こすことが知られています。

AT2受容体はAT1受容体に拮抗する形で機能しています。

ただし、心臓においては、AT2受容体にも”心肥大促進作用”があるとされ、心肥大抑制にAT1受容体のみを遮断すればいいのかということに対して、肯定し切れない面もあるようです。
それでも一般的には、ARBとしてAT1受容体への選択性が重要となってきます。

アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬 ( ARB ) のファーマコフォア

ARBの化学構造上の特徴として、テトラゾール基またはその類似構造を持つものが多く、受容体と静電的相互作用をし強固な結合を可能にしています。

また疎水性の高いビフェニル基などを持ち、疎水性ポケットに入り込む部分やπ-π相互作用への寄与もあります。

ARBとAT1受容体の主な結合は、静電的相互作用や水素結合、π-π相互作用などで、「アドレスドメイン」(阻害活性に必須の構造)と、「アンカードメイン」(受容体への結合を強固にし解離しにくくする構造)が重要です。
AT1受容体のLys199、His256、Glu257残基などが、ほぼ共通した結合部位となっています。

ロサルタン、カンデサルタン

ARB、ロサルタンとカンデサルタンの化学構造式

バルサルタン、オルメサルタン

ARB、バルサルタンとオルメサルタンの化学構造式

テルミサルタン、イルベサルタン

ARB、テルミサルタンとイルベサルタンの化学構造式

アジルサルタン

ARB、アジルサルタンの化学構造式

アジルサルタンはカンデサルタンの脂溶性を高めた構造になっており、受容体との結合力も強力で、図解したようにプロドラッグ化の必要がありません。

ARB の阻害作用の強さ

ARBの付随的な薬理作用として、ロサルタンには尿酸排泄促進作用があり、テルミサルタン、イルベサルタン、アジルサルタンにはPPARγ活性化作用(糖・脂質代謝改善)が確認できているようです。

また、ロサルタンではほとんど見られませんが、インバースアゴニスト(受容体機能をリガンドが結合していない基礎活性状態より低下させる)作用を有している薬剤が多く、より効果的な降圧作用、心・腎保護作用を期待できるかもしれません。

阻害効果としては、やはりアジルサルタンが最も強く、次いでテルミサルタン≧オルメサルタン>カルデサルタン>イルベサルタン≧ロサルタン>バルサルタンとなりそうです。

(実際にはオルメサルタン≧テルミサルタンとする情報が多いように思います。)


※また直接比較の結果ではなく目安です。投与量によっても差がありますので参考程度にお考えください。

併せて読みたい記事

参考:
・赤路健一「第8章 降圧薬 8.3 アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬」『ベーシック創薬化学』化学同人. 2019. p.92〜95
・Differential Bonding Interactions of Inverse Agonists of Angiotensin II Type 1 Receptor in Stabilizing the Inactive State.Mol Endocrinol. 2008 Jan; 22(1): 139–146.Published online 2007 Sep 27. PMID: 17901125
・Reassessment of the Unique Mode of Binding between Angiotensin II Type 1 Receptor and Their Blockers. PLoS One. 2013; 8(11): e79914.Published online 2013 Nov 8. PMID: 24260317
・Unique binding behavior of the recently approved angiotensin II receptor blocker azilsartan compared with that of candesartan. Hypertens Res. Author manuscript; available in PMC 2014 Mar 12. PMID: 23034464
・Clinical and Pharmacotherapeutic Relevance of the Double-Chain Domain of the Angiotensin II Type 1 Receptor Blocker Olmesartan. Clin Exp Hypertens. Author manuscript; available in PMC 2014 Jan 14. PMID: 20374187
・アンギオテンシンⅡ受容体拮抗薬 各種インタビューフォーム(IF)

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